先日あった不動産の決済にて。売主さんは、不動産を両親と一緒に3人で購入。
お母様がお亡くなりになり、その権利を息子である売主さんが相続で取得。
次にお父様がお亡くなりになり、その権利を息子である売主さんが相続で取得。
結果、現在は売主である息子さんが単独で所有。
このような場合に、この不動産を売るときに売主さんに用意していただく権利証は3通になります。
- 1通目 親子3人で購入したときの権利証
- 2通目 お母様の相続で取得したときの権利証
- 3通目 お父様の相続で取得したときの権利証
3通合わせて、一つの不動産全ての権利証になります。
昔の権利証というのは、不動産登記の申請書の写しに、法務局が受付番号などの赤いハンコをドーンと押したものです。
この申請書の写しには、司法書士が用意した綺麗な和紙を使い、さらに、法務局がハンコを押したその和紙に、表紙等を付け装丁します。
皆様がお持ちだったり、ドラマなどで見たりする権利証は、法務局であの形になっているのではなく、司法書士が各事務所で装丁し、装飾してあの形になっているのです。ですので、権利証の表紙は頼んだ事務所ごとに大きさもデザインも違ったりします。
さて、今回の売主さんの3通の権利証。
2通目の権利証が表紙も何もなく、わら半紙2枚がホッチキスで止めてあるだけ…。
確かに法務局のハンコは押してあり、権利証としては問題ありません。
「もしかして、お母様の時の相続登記、ご自分でなさったのですか?」
「ええ、そうなんですよ」
この売主さんは、司法書士に頼まず、ご自分で相続の登記をしたため、表紙などの装丁が無いのです。
わら半紙なのは、法務局でもらえる穴埋め式の申請書がわら半紙だったから…。
相続の登記はしっかり書類さえ集められればご自身でできる類の登記であるとはいえ、その書類集めがなかなか面倒で、書類収集の途中で挫折してご依頼いただくお客様も多いです。ゼロから始めるとなると、いろいろ調べたり法務局に相談のため平日に通ったりと、それなりに時間と労力がかかると思います。
「ご自分でなさるとは凄いですね。大変だったんじゃありませんか?」
「いやいや」
「法務局に何回くらい通われました?」
「実は…20回は行きました…」
「え?!!」
「そうなんです。だから父の相続のときは、もう一度やる気が起きなくて司法書士に頼みました…」
確かに3通目は綺麗に装丁されています…。
20回通うというのはさすがに滅多に無いかと思いますが、面倒な書類集めや、法務局での相談などの時間の節約、そして、綺麗な表紙の権利証をお望みの方は、できれば司法書士にご依頼いただければなと思っております。