住宅ローンを完済すると、金融機関から抵当権を抹消するための書類が送られてきます。
ローンの契約書や金融機関代表者からの委任状などが入ったこれらの書類を「抹消書類」と呼んでいます。
▼抹消書類(抵当権解除証書)の例 ※当事務所作成見本
抹消書類を受け取ったあとは、ご自分で登記をするか、司法書士にご依頼いただき登記をする方が多いと思います。
金融機関等が勝手に登記をしてくれることはありませんので、何もしないとずっとご自宅に抵当権の登記が残ったままになります。
それでは、抵当権が残ったままだとどうなるのでしょうか? さまざまなデメリットがありますので、ご紹介します。
登記が複雑になる
時間が経つと当事者の住所が変わったり、住所変更登記が必要になったり、抵当権の抹消をしないうちに相続が発生して、先に相続登記をしなくてはいけなくなったりします。
また、金融機関の合併の影響を受ける可能性もでてきます。
「抹消登記をするのを忘れているうちに抹消書類を失くしてしまった…」というご依頼も非常に多いです。
時間の経過によりさまざまな弊害が発生し、登記の複雑さは増します。
裁判しないと抹消できない
抹消書類を失くしてしまった、そもそも発行してもらっていないという場合、裁判所での手続きや、または裁判をして判決が出ないと抵当権の抹消ができない場合があります。
抵当権は金融機関等と不動産の所有者の共同申請という手続きのため、両者が協力しなければ登記できません。
金融機関等の協力の「証拠」である抹消書類を失くしてしまったり、そもそも受け取っていない場合、大手金融機関であれば再発行等の手続きをすることは可能ですが、相手が小さな会社や個人の場合、すでに会社がつぶれていたり、個人なら死亡や行方不明になっているということがあります。
そういう場合でも簡単な救命措置はなく、「休眠担保権の抹消」や「公示催告、除権決定による抹消」など、裁判所での手続きや裁判を経ないと抹消できません。
すでに返済が済んでいるなどの、抹消に値するだけの確実な証拠を示さなければならないなど、多くの労力と時間がかかり、専門家に依頼した場合は報酬などの費用もかかります。
誰もが知っている大手金融機関以外の抵当権が付いている場合は特に注意して、完済と同時に必ず抵当権の抹消手続きをしましょう。
不動産を売却できない
残債務がないとはいえ、抵当権の登記がある不動産を売ることは非常に難しいです。
抵当権付きの不動産を買うということは、前所有者の借金を肩代わりしなければならないリスクがあるからです。
売却の予定が無くても、速やかに抵当権抹消しておけば、いざというとき慌てずに済みます。
担保に提供できない
抵当権付きの不動産を担保に、融資を受けるのは非常に難しいです。
抵当権の効力は、登記した順番で決まります。先順位の抵当権が消えていないと、金融機関は融資することを躊躇します。
新たな借り入れの予定が無くても速やかに抵当権抹消しておけば、いざというとき慌てずに済みます。
抵当権抹消で迷ったら、すぐに専門家へ!
抵当権抹消登記は、しなくてもすぐに不利益が生じることは少ないので、忘れたまま時間が経ってしまっているケースが多く見られます。
ただし、ご紹介した通りさまざまなデメリットがあり、それは時間が経てば経つほど複雑さ、困難さを増します。
「住宅ローンは完済したけれど、抵当権抹消登記をした覚えがない」
「手元にそれらしき書類が無い」
「もしかしたら、そのままになっているかも…」
そんな方は、ぜひ当事務所の ▶無料相談 をご利用ください。
大切なのは専門家による正確な現状認識です。
前提が間違っていれば、手続きは進みません。
抵当権抹消のお客さまの声
実際に抵当権抹消手続きのご相談をいただいた、お客さまの声をご紹介します。